2019.11.22
精神科の主治医と「診察で上手く話せない、もしかしてフィーリングが合わないのでは?」と感じた時には、どうしたら良いのでしょうか。
この記事を書いている著者は12年間で約2,000軒の医療機関を訪問し、その後精神疾患の方対象のオンラインカウンセリングサービスを提供する中で 「主治医が冷たい、診察に通うのが辛い」というお声を度々お聞きしてきました。
「主治医が冷たい、診察に通うのが辛い…」
そんな想いを抱えている方が多いと感じています。
今回は、「主治医と合わない。どうしよう?」と思った時にどのように対処したほうが良いのか、についてとりあげていきたいと思います。
本記事の内容
このような方に向けて書いています
本記事を読めば、主治医と合わないと悩んでいる現状を少しでも良い方向に変えることが出来ます。
まずは、主治医を変えようかな?と思った時、いつもの診察をちょっと振り返ってみましょう。
※すぐに主治医を変更する時の注意点とポイントがチェックしたい方はコチラをクリックしてください。
目次
医師は万能なのか?
そんな神みたいな先生はいません。まずは医師がしてくれることを確認してみましょう。
医師にしかできない仕事といえばまずは診断です。
一度「うつ病」と診断されていたとしても、診察して新たな症状が発覚し、別の病名に変わることもあります。これは医師にしかできない専門の仕事です。様々な診断基準、最新の情報から総合的に判断して、病名を診断します。
薬の処方もまた、医師にしかできない仕事です。診断に基づいて、様々なガイドラインや臨床の経験から、最も妥当と思われる薬の種類と量を判断します。
保険診療の場合がほとんど。用法用量を守り、保険の範囲内での処方をします。
もちろん精神療法(心理療法)も精神科の主治医の仕事です。
しかし、保険診療での医師による精神療法は、保険の範囲内で行われるため、初診、再診ともに時間が定められています。
再診で安定している場合は5分程度しかお話しを聞けないというのが、現在の保険診療の現状となっています。
「もっと長く、丁寧に話を聞いてほしい。」
「時間が短すぎるとうまく伝えられないから診察時間を伸ばしてほしい」
そう思う患者さんも多くいらっしゃいますが、残念ながら現状の保険診療の制度では長時間の診察が難しくなっています。
主治医が確認したい話と、患者さん自身が話すことがズレているかもしれません。
主治医が診察時に患者さんから聞きたいと思っていることは、下記であげる2点あります。
例えばうつ病と診断するなら、うつの症状が出ているのか、どのくらいの期間その症状が続いているのかなどを確認しなければ、診断することができません。
医師は、症状の有無、症状が続いている期間などを聞こうと一生懸命です。
それも、初診の場合、保険診療の範囲内、30分から60分程度で診断のための情報を得なければなりません。
患者さんと合うのは初めて。医師も人間ですので、お互いに緊張しているということもあるかもしれません。
初対面の医師に次々質問されたら、病気で辛い中の診察、色々ぶっきらぼうに聞かれて嫌な思いをした…という印象になってしまっているかもしれません。
処方では、効果のある薬を一番に考えてしまうところですが、外来の場合は特に、副作用に十分注意しなければなりません。
服用した薬のせいで、重大な副作用が出るなどした場合、本来の治療ができなくなってしまうかもしれません。
特に薬のアレルギーには医師が最も注意を払うところです。
薬のリスクとベネフィットのバランスを考え、患者さんにとって最も効果的と思われる処方のため、患者さんのお話しを聞きたいと思っています。
また、薬の服用は最低限にしたいとか、以前に服用した薬が自分にとても合っていたなど、患者さんの薬に対する考え方も確認したいと思っています。
主治医が聞きたいのは主にこの2点。でも、診察で主治医に話したいのは…
昨日、夫と喧嘩したことだったり、職場での複雑な人間関係だったり、何年も悩んでいる親子関係だったり…
実は、患者さんが話したい事と、主治医が聞きたい事のギャップが大きいのです。
時間さえあれば聞いてあげたいのはやまやまなんだけど…
診断や薬の調整が難しい患者さんが沢山待っている。
「ごめんなさい。今日はここまで。」
(あ~、全然先生に話せなかった・・・)
こんなやり取りになっていませんか。
まずは主治医が聞きたいことを先に話してしまいましょう!
症状のこと、薬のことを先にパパっと。そうすると、主治医の先生にも余裕が。
いつも忙しそうで話せないのに、雑談もできてしまうかもしれません。
全ての医師が素晴らしい診察をしてくれるのでしょうか。
例えばうつ病治療でダメな医師、こんな主治医はちょっと…
専門医からのアドバイスをご紹介します。
医師にとって、重要な仕事である処方。薬の説明は非常に大切です。
それにも関わらず、初めて飲む薬の説明をほとんどしないなんて…
患者さんが安心して服用できないような処方の仕方をする医師は注意です。
抗うつ薬は基本的に単剤療法が良いと言われています。
諸事情により2剤になる場合もあるかと思いますが、いきなり3剤というのは専門医としては考えられない処方です。
少量から始めて、増量してゆくという抗うつ薬は多くありますが、何の説明もないまま、どんどん薬が増えて行くというのは問題です。
なぜ増量になったのか分からない場合は、主治医に説明してもらいましょう。
増量した意味を理解することで治療が今、どの段階なのかを知る事ができます。この薬は何mgまで増量するのか、今後の計画なども話し合えると良いですね。
薬を飲むのは主治医ではなく、患者さん自身です。理解しないまま、言われるがままに飲んではいけません。患者さん自身が自分の病気のことを知り、勉強するのは大切なことです。
それなのに、薬について質問した時に不機嫌になる主治医は問題です。
しっかりと説明を受け、納得した上で治療を進めたいですね。
精神科の治療は薬だけではありません。
あまりにも薬に頼りすぎる医師にも注意が必要です。
薬を最小限にして、精神療法、カウンセリングなどを試してみたいと相談したのに、全然聞いてもらえなかったなどという声もあります。
薬以外の対応法については全て反対、話を聞いてもらえないなどという場合は注意です。
主治医以外の第三者やセカンドオピニオンに相談してみるのも良いでしょう。
やっぱり色々と考えたけれど、主治医を変えた方が自分にとって良いと思ったら、主治医の変更にはタイミング、ポイントがあります。
病気で一番辛い時は、判断する力が弱くなっています。本当に今の主治医が合わないのか…どの医師と話しても、結果は同じなどということもあります。
特に「死にたい」などの気持ちが強くなっている時や、辛くて辛くて我慢できない、診察でも泣いてばかりで上手く状態を伝えられないなどという時は、新たな医療機関に行くこと、初めての医師に一から説明するということが、様々な面で負担です。
初対面の医師に、病状を説明できるような時に変更するのがおすすめです。
病状が落ち着いていない時には、入院も考慮するなどして、しっかりと休養し、自分の状態を確認しましょう。
紹介状(診療情報提供書)は、今までにどのような治療をしてきたのか、主治医から他の医師への専門的な引き継ぎ書です。
紹介状があると、様々なメリットがあります。
200床以上の病院では、紹介状がない場合に5,000円(+消費税)以上を診察料とは別に支払うことが義務付けられています。紹介状をもらうには紹介状作成料がかかりますが、5,000円よりは費用がかかりませんので、主治医に作成してもらいましょう。
問診や検査についての結果を伝達してもらえるので、余分な時間と費用がかかりません。
初めての医師に一から説明するのは、とても大変なことですね。紹介状があれば、今までにどんな治療をしたか、症状について、経過についてなど、医師は速やかに把握することができ、診察をスムーズに進めることができます。
紹介状は、主治医に依頼すれば、すぐに発行してもらうことができます。
言いにくい…等があれば、主治医に直接でなくとも受付や事務で対応し、主治医に伝えてくれることも。
「女性/男性の先生にかかりたい」
「〇〇病院で診察を受けたい」
など申し出ることで、すぐに発行してもらうことができます。
近くに精神科の医療機関がないなど、変更することが難しい場合もあります。そんな時にぜひ使ってほしいのが医療連携のカウンセリングです。
『カウンセリング』と言っても医師とは連携せずに、独立してカウンセリングを行っているところもあります。
一方、医学的な視点でだけみるよりも、同時に心理学的な角度からも患者さんをみたほうが良いのではないかというのが医療連携のカウンセリングです。
それを国家資格を持った公認心理師が医師に伝え、患者さんにとって最良の医療に近づけようと努力しています。
医療を上手に使うことで、本当はもっともっと病気が良くなるはず。
主治医とのコミュニケーションに不満を抱いたまま、薬だけをもらいに医療機関にいったりするのはもうやめにしましょう。
セラピラシスのカウンセラーは、心理学のプロとして、全力で治療チームの一員になりたいと思っています。
今回は、主治医と合わないというお悩みの対処法についてご紹介しました。
でも主治医を変えるタイミングだろうか?主治医を変えるのはちょっと大変そう…
大事なことですし、迷われることが多いと思います。
そんな時に医療連携のオンラインカウンセリングでプロに頼ってみませんか。
診察時間は同じでも、今よりぐっと治療効果が出るはず。
ぜひ一度ご相談ください。