2019.11.30
うつ病の診断を受けて治療を進めてきましたが、なかなか思うように良くなりません。
仕事は休職期間が終わり、退職してしまいました。
うつ病治療で焦ってはいけないと思いつつ、お金のことが心配で、治療に専念できません…
上記のようなお悩みを抱えて一人で苦しくなっていませんか。
多くの精神科の患者さんから、治療の金銭的な心配についてお問合せをいただくことがあります。
精神科の先生にお伺いしてみると、
などと患者さんから言われるケースもあるとのこと。
しかし、しっかり治療しないと、仕事に復帰するのは難しいですよね。
仕事がない、収入がない、治療できない、社会復帰もできない…
そんな悪循環を断ち切るために、日本には社会保障制度があります。
今回は「お金がない。どうしよう…治療を中断してしまうかもしれない」と不安な時の解決法の一つ『障害年金』についてとりあげていきたいと思います。
本記事の内容
このような方に向けて書いています
本記事を読めば、お金がないので治療が進まない、仕事ができないと悩んでいる現状を変え、安心して前向きに治療に取り組むことができるようになります。
目次
障害年金は病気やケガなどが原因で、一定程度の障害が継続する場合、生活費や医療費などの保障をするための制度です。
うつ病で働く事ができず生活に困窮している、治療が滞っているという場合『障害年金』の対象になります。
等級は1級がいちばん重度で、3級がいちばん軽度となります。
障害の状態が重いほど受給できる年金額も多くなります。
障害基礎年金の平成31年度支給金額は以下のようになっています。
(金額は年度毎に変わります)
1級:975,125円/年 (81,260円/月)
2級:780,100円/年 (65,008円/月)
障害「基礎」年金の対象は初診日が以下の①、②のような方です。
①国民年金加入中:自営業者、無職、学生
会社員など厚生年金保険加入者に扶養されていた人など
②未成年、または60歳以上65歳未満(年金を支給されていない期間)
日本国内に住んでいることが条件
障害「基礎」年金以外には障害「厚生」年金があります。
初診日が、会社員などの厚生年金保険加入中だった場合は障害「厚生」年金になります。
こちらは、社会保険労務士の石井智子先生に教えていただきましょう。
石井先生は『障害年金』の中でも特に精神疾患をお持ちの患者さんの手続きを数多くご経験されています。
(精神疾患の場合)
それぞれの方で判断されますので、以下は目安です。
1級 おおむね寝たきりの状態。介護が必要な程度。働くことはできない。
2級 自分の身の回りのことはできる(食事・洗面・金銭管理など)
半日ぐらい横になってしまう。働くことはできない。
3級 仕事に制限をかけなければならない。時短勤務、パート勤務
3級の目安を見ても分かるように、働きながら障害年金を受け取っている方もいらっしゃいます。
働いていると『障害年金』がもらえない。
働き始めたら即『障害年金』が支給されなくなるということはありません。
働いていても『就労状況』が重要です。仕事が何の制限もなくできているかどうかが『障害年金』の支給では重要視されます。仕事の種類や内容、就労状況、援助の有無などの確認が必要です。
働いていれば不支給ということはありませんので、専門家に相談してみることが重要です。
まずは医療機関に相談してみましょう。
『障害年金』という制度について知りたい、自分は『障害年金』の対象かもしれないと申し出てみましょう。
障害年金の申請には医師の診断書が必要です。
実際にどのような方に『障害年金』が支給されているのでしょうか。
石井先生のご経験をもとに、障害年金の支給例として架空の症例を提示していただきました。
50代女性 障害基礎年金2級認定
20代でうつと診断され、通院治療を開始。
軽度の症状のため、仕事をしながら服薬でコントロールできていた。
ところが交通事故で追突事故に遭い、うつ病が一気に悪化。
頭痛、めまい、吐き気、だるさ、自傷行為など。
働けない状態になり、障害年金の請求。
40代女性 障害厚生年金2級認定
20代頃、職場の人間関係が元でうつ病に。
職場にいることができなくなり、障害年金の申請を希望。
初診の病院ですでにカルテが保管されておらず。
(カルテの保管義務は5年)
当時の診察券・お薬手帳を証明資料として、申請。
40代男性 障害基礎年金2級認定
30年も病気で苦しみ、働くこともままならなかったです。
とうとうまったく働くことができなくなり、貯金も残り少なくなりました。
将来の不安から、ますます眠れなくなった時、
障害年金のことを教えていただき、希望を持つことができました。
30代女性 障害厚生年金2級認定
自分にはカウンセリングが向いているように感じていました。
ずっと機会があれば受けたいと思っていました。
けれども働けないから、主人に申し訳がないし、
経済的に受けることができないと思ってあきらめてきました。
今回障害年金を受け取ることが出来て、
やっとカウンセリングを受けられるようになりました。
今かかっている医療機関に『障害年金』について相談してみたけれど、話を聞いてもらえなかった。
主治医が『障害年金』の支給について前向きではない、
障害等級に該当しないと言われたなどという場合、
サポートしてくれる『障害年金』のプロがいます。
セラピラシスでも先生のご紹介をしていますので、一人で悩まずにお早目にご相談ください。
『障害年金』以外にも、日本の社会保障制度にはうつ病など精神疾患の方を支援するために様々な制度があります。
傷病手当金、労災の休業補償、雇用保険(失業手当)、自立支援医療制度、医療費控除、生活保護…厚生労働省のホームページに説明がありますが…
素人にはちょっと分かりにくいですね。
セラピラシスのサポート医師の木村真人先生に、実際に精神科の患者さんが使っている制度についてお伺いしてみました。
これら3つの制度は多くの患者さんが申請され、使われている事が多いとのこと。
『障害年金』の申請タイミングは大体初診から1年半以上経過した時点が多いとのことでした。
1年半以上通院していて、まだ障害年金を申請していない方、そろそろご相談の時期かもしれません。
上司からのパワハラでうつになった…
ということで労災申請することもあるようですが、認められるケースはなかなかないいようです。
パワハラなどは日本ではまだまだ難しいようですね。
患者さんが良く使っている制度で混同されやすいものに
『障害年金』と『精神保健福祉手帳(障害者手帳)』があります。
これらは、それぞれ等級が1級~3級。
私は障害年金1級なのに障害者手帳2級です。
なぜ同じ等級にならないのですか?
ととまどう患者さんもいらっしゃるようです。
しかし、この2つは全く別の制度。
ちょっと確認してみましょう。
年金制度です。
市町村の年金課、年金事務所、各共済組合に申請
日本年金機構で審査
精神保健福祉の制度です。
市町村担当窓口に申請
各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターにおいて審査
有効期間:2年
(期限が切れる3ヵ月前から更新手続きができます)
全く別の制度で別の審査ですので、同じ等級にならないことがあります。
・同じ等級になる
『障害年金』支給が決定→『精神障害者手帳』取得の手続き
・同じ等級にならない可能性がある
『精神障害者手帳』を取得→『障害年金』申請
日本年金機構へ提出した診断書で審査。違う等級になる場合がある。
このように、年金→手帳の手続きをすると等級は同じ
手帳→年金の手続きをすると、等級が違うということが起こります。
制度についてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
・制度は、個々人の状況により異なる
現在、会社を休職している、会社を退職してしまった、自営業、主婦、学生など、社会的な状況によって使える制度は異なります。
また、疾患の種類、障害の程度などによっても違います。
病気で辛い、治療が大変な時期に、このような制度を個人で調べるのは本当に大変なこと。
主治医の先生でも制度に詳しい先生と詳しくない先生がいらっしゃいます。
・申請しなければ受給できない
当たり前のことですが、これらの社会保障制度は申請しなければ受給することはできません。
また、申請の手続きは「市町村」「都道府県」「労働基準監督署」「福祉事務所」「年金事務所」「社会福祉協議会」など様々な窓口があり、初めてのことばかりで戸惑ってしまいそうです。
・個人で申請するのは難しい
申請したい…
自分はどの制度の対象なのか分からない…
どこに申請するのか分からない…
申請書類の作成も大変です。
病気の治療中ならなおさらですね。
今までに個人で申請して認定されなかったけれど
専門家が申請することで認定されたというケースも多いのが現状です。
やはり、申請にもポイントがあるのですね。
制度について相談したい…と思ったら、精神保健福祉士(MSW)、専門性の高い社会保険労務士が制度の専門家です。
使える制度があるのに、使えていないという患者さん、多くいらっしゃいます。
うつ病などの精神疾患で、治療費が心配、働けなくて将来が不安、治療に専念できないと悩んだら、早めに専門家に相談してみましょう。
社会もあなたを支える存在です。
初回のご相談は無料です。
セラピラシスの障害年金相談窓口LINEまでご連絡ください。
↓
https://lin.ee/x9sREZ6