2021.06.08
がんと診断された時はもちろん、治療中もずっと、相談したいことが様々あると思います。 病気そのものや治療についての気がかり、
症状をコントロールしながら日常生活をどのように送ればいいのか、
症状をコントロールしながら日常生活をどのように送ればいいのか、
具体的鎮痛剤の使用方法などお悩みごとはつきません。
がん治療中は、どんなところに相談できるのでしょうか。 がん相談専門員の古山めぐみさんに、がん患者さんのご相談について教えていただきました。
このような方に向けて書いています
まず、がん患者さんの相談先について主なものを6つ取り上げてみたいと思います。
目次
医師へのお悩み相談は、いつもの受診以外にアポイントをとって相談することをお勧めします。
また、ご家族と一緒に聞くと、聞き忘れを防いだり、帰宅後に内容を確認できるため良いでしょう。
医師に聞きたいこと、確認したいことはメモして持参すると聞き忘れ防止になります。
専門医に相談する場合は、セカンドオピニオンに行くことになります。
セカンドオピニオンとは、診断や治療について専門医の意見を聞きに行くことを言います。
転院とは違い、紹介元(現在受診している病院)の医師の診療は継続されます。
自由診療(自費)であるため、施設ごとにセカンドオピニオン料金が定められています。
ご本人がいけない場合は、委任状を作成しご家族だけで専門医の意見を聞いてくることができます。
セカンドオピニオンに行くには、主治医に直接申し出て、紹介状、資料(レントゲンやCT画像、血液検査結果、病理結果等)を準備します。
予約制ですので、詳しくはセカンドオピニオンに行く施設のホームページで確認をしましょう。
最近では医師によるメール相談もあります(静岡がんセンター)
全国の「がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」にある、がん相談の窓口です。
これらの病院は、全国どこでも質の高いがん医療が受けられるように、厚生労働大臣が指定した施設です。
がん相談支援センター」とは
患者さんやご家族の中には、
「ドアを開けるのに勇気がいる」
「何回もドアの前を行ったり来たりした」とおっしゃる方がいます。
他の患者さんの手前入りにくかったり、こんな事を聞いてもいいのかと気おくれされてしまうようです。
対面はちょっと緊張しますよね。
対がん協会のがんホットラインは、9000件/年前後の電話相談があります。
がん相談支援センターでは相談が多いところでも6,000件ほどですので、とても多いですね。
電話で相談できること、病院と関係ないことで使いやすいのかもしれません。
(日本対がん協会ホームページより引用 http://www.jcancer.jp/lp/hotline/)
患者同士が出会える場、支え合いの場としては、
・患者会
・患者サロン
・ピアサポート(がんサバイバーの方が一定の研修を受けがん患者さんのお話をお聴きする)
などがあります。
同じ経験を持つ患者さんの話を聞くことで、気持ちが軽くなったり、療養生活を快適に送る知恵を得られることがあります。
担当医や専門家の話とともに、うまく取り入れるとよいでしょう。
どうやって患者会を見つけたら良いですか?
調べる時にどんな情報に注目したら良いですか?
何か注意することはありますか?
患者会の中には、特定の医療機関(医師)への受診を勧めたり、
特定の治療方法を強く勧める、といった団体も稀にあります。
電話やメールで資料や情報を取り寄せたり、
インターネットでホームページを確認したりするなどして、中身をよく吟味しましょう。
気が進まない場合は、そのことをはっきりと伝えて断りましょう。
特定の治療法や健康食品などを勧められた場合は、必ず担当医やがん相談支援センターに相談しましょう。
患者コミュニティーサイト(掲示板、メーリングリスト、チャット)で、交流が盛んになっています。
これまで患者数の少ないがんの場合、患者会を探しても見つからないなど、患者同士が知り合える機会はほとんどありませんでした。
しかし、最近では、比較的簡単に交流ができるようになりました。
中には、インターネット上で知り合った仲間と直接会う場を設けるところもあります。
こうした場に参加することで、ほかの患者さんとよりよい関係を築いていけることでしょう。
交流サイト「5years」の登録者数が、1万人を超え、利用者が急増しています。
サイトを立ち上げたがんサバイバーの男性は
「通院も難しくなり、孤独ながん患者は多い。ネット上での交流も心の支えになる」と話しています。
がん患者さんやご家族の相談の場は、現在は電話か面談が主流です。
通院が難しくなった患者さんや、不安が募りやすいのに施設が閉まっている夕方などに利用できることは、心強いと思います。
専従(業務の8割以上ががん相談のスタッフ):24%
専任(業務の5割以上ががん相談のスタッフ):23.3%
(日本全国のがん診療連携拠点病院での調査 平成28年)
がん相談支援センターにがん専門相談員がいます。
しかしながら、データで見ても分かるように
「専従」として相談の仕事をメインにしている相談員の数は、専門施設でもまだまだ少ないのが現状です。
ソーシャルワーカーや看護師の仕事をしながら、時々相談業務をしているというケースもとても多いです。
平成27年現在
※がん情報サービスで公開されている各病院のがん専門相談員の内訳データから算出。
その他=保健師、薬剤師、管理栄養士など
国立がんセンターがん対策情報センターによる以下の研修を修了する必要があります。
がん診療拠点病院で仕事をしています。
各施設2名以上の配置義務があり、人数は各施設により差があります。
現状、患者さんの数に対してとても少なく、直接相談するのはなかなか難しいかもしれません。
地域がん診療拠点病院は、医療圏に一つと決められています。
医療圏とは?
高齢者が多いとか、子どもが多いとか、地域によって医療ニーズも違いがあります。
地域のニーズに応じた医療体制を整えるために医療圏があります。
全国どこでも、レベルが高く、ニーズに合った医療を受けられるように医療圏があるのですね。
がんについても、医療圏をベースに、全国402箇所の「地域がん診療連携拠点病院」があります。
全国どこでも質の高いがん医療を受けられるようになっています。
(令和2年4月1日現在)
・都道府県がん診療連携拠点病院51箇所
・地域がん診療連携拠点病院(高度型)47箇所
・地域がん診療連携拠点病院275箇所
・地域がん診療連携拠点病院(特例型)26箇所
・特定領域がん診療連携拠点病院1箇所
・国立がん研究センター2箇所
・地域がん診療病院45箇所
・全国に小児がん拠点病院を15箇所
・小児がん中央機関を2箇所指定しています
・がんゲノム医療中核拠点病院を12箇所
・がんゲノム医療拠点病院を33箇所
・がんゲノム医療連携病院を161箇所公表
厚生労働省ホームページ
これらの病院は
がん専門相談員が常駐しています。
例えば千葉県なら、千葉県がんセンターをはじめ、県内9病院です。
院内に「がん相談支援センター」等の名前で相談窓口があります。
【1】~【6】までご紹介してきましたように、
がん患者さんやご家族は、相談できる場所がたくさんあります。
無料相談や、患者会もとても多いです。
しかし、果たして十分相談にお応えできているのでしょうか。
相談しても、相談員の専門が違ったり、十分なお時間をとることが難しい場合もあります。
患者さんは、体調が悪く、相談のために外出できないこともあるかもしれません。
基本は、次回(2021年6月公開予定)のコラムで、新しいがん相談についてご紹介してみたいと思います。