2019.12.21
インターネットの普及に伴い、オンラインカウンセリングを利用する方が増加しています。
このコラムを書いている私は、2017年当時、臨床心理士だった先生方と治療中の患者さんのための理想のオンラインカウンセリングを作ろうと、試行錯誤でシステムを立ち上げました。
その後、2018年3月には『オンライン診療』が保険適用となり、医療のオンライン化が年々進んできています。
本記事では、オンラインのメリットやリスクを確認しながら、現状、医療連携のオンラインカウンセリングとはどんなものかをご紹介したいと思います。
このような方に向けて書いています
アメリカなどでは盛んに行われているオンラインカウンセリングですが、日本でのオンラインカウンセリングは、まだまだデータも少ない状況。
カウンセリングとは違いますが、2018年3月に保険適用され、注目を浴びている「オンライン診療」については、保険診療であることから様々な議論が展開され、オンラインカウンセリングよりも多くの検証がなされています。
まずはオンライン診療のデータや、様々な議論から、オンラインのメリットやリスクを確認してみましょう。
目次
オンライン診療は、保険適用ですが、全ての症状、病気でオンライン診療を受けられるわけではなく、現在、糖尿病高血圧などの生活習慣病に限られており、鬱病など精神疾患はほとんど対象外です。
実際にオンライン診療を導入している医療機関にはどのような傾向があるのでしょう?
全体の6割が、東京、神奈川、愛知、大阪のクリニック。
大都市で開業したばかりのクリニックが、競合との差別化のため導入するケースが多いようです。
【年齢】
20~50歳代が全体の8割以上を占めているというデータが出ています。
性別では男性が全体の70.7%となっています。
【主な疾患】
など定期的な通院が必要な慢性疾患の方が多く利用しているようです。
生活習慣病以外はオンライン診療料の対象疾患から外れており、自由診療でオンライン診療が行われているというデータが出ています。
オンライン診療の大きなメリットとして、患者さんの精神的、物理的負担を減らすという点が挙げられます。
オンライン診療についてテレビ番組の特集を見たことがあります。
取材を受けていた糖尿病治療中の患者さんが、職場での休憩時間に会議室を借りて、アプリを使って診察を受け、薬の処方を受けているシーンが印象的でした。
半休などをとらなくてはならないところ、オンライン診療を利用することで昼休みの時間で診療を受けることができています。
会社で働いている場合、このメリットは非常に大きいですね。
オンライン診療の問題点として、対象疾患の縛りによって患者さんがオンライン診療を受けたくても受けられない、という点があげられます。
対象疾患の縛りをなくしてもよいのではないか?という議論も多くされているようですが、まだ進んでいません。
特に望まれているのは、皮膚科、小児科、そして精神科領域です。
現在、オンライン診療料が算定可能な患者さんは以下のようになっています。
1、特定疾患療養管理料(結核、がん、甲状腺障害など)
2、小児科療養指導料(脳性麻痺、先天性心疾患など)
3、てんかん指導料
4、難病外来指導管理料
5、糖尿病透析予防管理料
6、地域包括診療料
7、認知症地域包括診療料
8、生活習慣病管理料
9、在宅時医学総合管理料
10、精神科在宅患者支援管理料
以上の管理料を初めて算定してから6ヶ月以上経過した患者さん
(2018年4月改訂 診療報酬より)
精神科の場合は10ですね。
精神科在宅患者支援管理料は、精神症状により一人で通院困難な患者さんを対象としています。医師、看護師、保健師作業療法士、精神保健福祉士等が月1回以上『訪問診療』及び定期的な精神科訪問看護を実施することなどが条件になっています。
普通の外来の患者さんはこれにあてはまらないので、精神科でのオンライン診療は、自由診療となります。
対象を拡大してほしいという提案も多数上がっているようです。
平成30年(2018年)3月末に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が発出され、少なくとも1年に1回以上更新することになっており、今後の動きに注目されています。
どうして「オンライン診療をもっと多くの疾患で受けられるようにしてほしい!」と多くの要望が上がっているのに、中々 対象疾患拡大に繋がらないのでしょうか?
その背景の一つには、オンライン診療の指針を守らずに危険な診療をする医療機関が以前に存在したことが挙げられます。
2018年10月、オンライン診療の危険性がニュースになったことがあります。
など、患者さんが人目に触れることを気にする傾向がある薬。
受診がちょっと恥ずかしい…
そういった領域でオンライン診療は盛んに使われました。
しかし、2018年、オンライン診療の指針を大きく外れた事例が報告されました。
内容は、患者に一度も会わずに、治療薬などを処方する医療機関が複数あり、それがオンライン診療で行われていたというものでした。
新聞などの報道によれば「初診は対面診療」がオンライン診療の原則でしたが、全く守られていなかったとのこと。
EDやAGAの薬の安全性はしっかり説明されていたのでしょうか?
ED薬では心臓疾患の薬との併用で死亡例もあることから、初診時には服用の際の説明がしっかりと行われなければならないのですが…
さらに驚いたことに、新聞記者が、取材のため、実際にED治療の初診患者として受診してみたところ、スマホの画面に男性が出ました。
この男性、医師免許どころか医療関係の資格さえ持っていなかったというのです。(2018年10月29日(月)朝日新聞朝刊34面)
2015年に厚生労働省が遠隔診療は離島、へき地に限らないとしたことで、増加してきたオンライン診療。規制が緩和されたことで便利にもなりましたが、指針を守らないなどで、一時、混乱しました。
現在、このようなオンライン診療から引き起こされるトラブルから患者さんを守るため、また規制が厳しくなり、慎重に対象疾患拡大が進められているという状況です。
様々なメリットがあるオンラインですが、便利だけれど、利用者側からすれば不安な点がいくつもあります。
対面以上にきちんと情報を開示し、顔写真は当然のこと、資格、実績などをしっかりと表示しなければ、全く別の何の資格も持っていないような人が対応しても分からないという怖さがあります。
また、今、「オンラインカウンセリング」と検索すると、様々なものが上がってきます。
悩みを相談するサイトといっても、本当に様々。
占い、お肌診断、留学、法律相談…
どれもみんな「オンラインカウンセリング」です。
オンラインカウンセリング、何だか不安、良く分からないという不安感はこういったところからも生じているのではないかと思われます。
このようなお困りの声にお応えできるカウンセラーは、日本では国家資格を持った『公認心理師』だけです。
平成27年(2015年)9月9日に公認心理師法が成立し,平成29年(2017年)9月15日に施行。
平成30年(2018年)9月に第1回の国家試験が実施され、国家資格を持つ心理士が日本に誕生しました。
日本初の心理職の国家資格「公認心理師」どのような資格なのでしょうか?
病院のカウンセラーと言えば「臨床心理士」でした。
新しい資格である公認心理師と臨床心理士とでは、どんな違いがあるのでしょうか?確認してみましょう。
臨床心理士 |
公認心理師 |
民間資格 |
国家資格 |
臨床心理士は民間資格、公認心理師は国家資格です。
臨床心理士は
臨床心理学系修士号取得者、または医師免許取得者
公認心理師は
大学心理学系科目+学士号+大学院心理学科目+修士号取得者
となっています。
臨床心理士の場合は、大学で心理学を専攻していなかったとしても、臨床心理士指定大学院で2年間学ぶことで臨床心理士になる道が開けました。
また、医師であり、臨床心理士でもあるという先生も多くいらっしゃいます。
公認心理師の場合は、現在経過措置期間ですが、大学から心理学を専攻していなければ資格取得ができなくなります。
臨床心理士は最短2年の養成課程だったのに対し、公認心理師は最短でも6年学ばなければ受験資格が得られないことになります。
医学部、薬学部も6年制。公認心理師も同じなのですね。
臨床心理士は精神疾患に関する適切な判断力の習得は必要としていませんでした。対して、公認心理師はこの判断力の活用が必要です。
臨床心理士は、心理職としての独立性があり、医師から「指示」も「指導」も受けずに、必要に応じて医師との「連携」や「協力」は行うといったスタンスです。
公認心理師は病院、クリニックなどの医療分野だけでなく、学校、企業などでも主治医がいる場合に、医師からの「指示」を受けます。
※「指導」ではなく、より強制力のある「指示」を受ける (第42条第2項)
2019年9月時点で、公認心理師は27,344名が登録されています。
都道府県別の登録数を見てみましょう。
【公認心理師が多い都道府県】 |
1位 東京都 5,128名 (18.7%) |
2位 神奈川県 2,270名 (8.3%) |
3位 大阪府 1,931名 (7.0%) |
4位 愛知県 1,578名 (5.7%) |
5位 埼玉県 1,493名 (5.4%) |
【公認心理師が少ない都道府県】 |
1位 秋田県 101名 (0.3%) |
2位 高知県 131名 (0.4%) |
3位 青森県 137名 (0.5%) |
4位 山形県 141名 (0.5%) |
5位 富山県 142名 (0.5%) |
5,000名を超える公認心理師がいる東京、101名しかいない秋田・・・。
圧倒的に都市に集中していることが分かります。
また、一つの専門施設に集中しているということもあり、クリニックや病院での治療を受けていても、通院している施設に公認心理師がいないということもあります。
公認心理師に出会うのは、地方の方にとっては易しくないことが分かりますね。
「セラピラシス」には、現在15名の専門的な資格を有する心理士・医師・歯科医師がカウンセラー登録しています。
どの先生も、様々な臨床経験があり、さらに学会発表をされたり、著書があったり、専門性が高く、勉強家な先生ばかりです。
会員登録すると、それぞれの先生の経歴、日々更新されてゆく実績を確認することができます。会員登録は下記ボタンからできます。
現在、セラピラシスでは、ビデオ通話、通話、メールでのカウンセリングが2年間で750回を超えました。
中には、カウンセリングが終結となり、寛解に至った患者さんもいらっしゃいます。
大きな特徴として、医療機関通院中のクライエントが多いことから、カウンセリングを2、3回行うごとに主治医の先生への報告を行っています。
主治医の先生からは、診察中に聞けなかった情報が得られ、診療にも有用であるとの評価をいただき、紹介の患者さんが増えています。
オンラインはあやしいのでは?様々なリスクが高いのでは?という不安感を払拭すべく、専門性の高い公認心理師から、主治医の先生へご報告を継続させていただいています。
今までにないオンラインカウンセリングを。
通院中、服薬中だけれど、専門家のカウンセリングを受けたことがないという患者さんに、専門のカウンセリングとはどんなものかを知ってほしいという思いでカウンセリングサービスを展開しています。
【料金とご予約方法】
医療連携オンラインカウンセリング
初回 60分 8,000円+税
25分 5,000円+税
ご予約は3日前~承っております。まずは会員登録をお願いいたします。
主治医の先生への報告書(無料)はご希望により担当の公認心理師から発行させていただきます。